<<前の記事 建築プロデューサー  森 賢一トップページ 次の記事>>
エコハウスのウソ (第15回

オール電化はオールエコ?

 

 今世紀に入り急速に普及したオール電化住宅。全てを解決する「魔法」のように考えている人もいるが、前真之氏は、使い方によっては「増エネ」を誘発してしまう場合もあるので要注意だと指摘する。

 

 昨今の電力供給の問題などから一時期ほどの勢いはないといわれるオール電化住宅であるが、ここ10年間におけるエネルギー変革の主役であったことは誰にも否定できない。「清潔安全」「快適便利」「省コスト」「省エネ」「省CO2」・・・。全てを解決する「魔法」のようなオール電化住宅、実際のところはどうだったのだろうか。

 オール電化を構成する主要な機器は、三種の神器と呼ばれる「IHヒーター」「エコキュート」「エアコン」である。このうち、後者2つはヒートポンプにより空気熱を集める事で圧倒的な高効率を達成しているとされる。このこと自体は間違いなく「真実」なのだが、実はあくまで「条件付き」。機器を適切に選択し、正しく使うことが不可欠なのである。

 

 

 

ヒートポンプも使い方次第

 例えばエコキュートは、「いつ」「どれくらい」の湯を沸き上げるかをコントロールする「制御モード」をリモコンで変更できる。ここで「深夜のみ」モードを選ぶと安価な深夜電力の時間帯にだけ沸き上がるので、電気代を安くできそうに思われる。しかし「深夜モード」のみに変更すると、エコキュートは昼間の湯切れを防ごうと深夜に湯をタンクへパンパンに貯めるので熱ロスが増加し、極端に効率が低下してしまう。

 

「省エネモード」を選んでおけば、深夜に「ほどほど」に沸き上げ、昼間に足りなければ追いかけで沸き上がるので効率が高くなる。

 ヒートポンプは、「魔法」ではなく「技術」。日本が世界に誇れる素晴らしい技術であることは間違いないが、そのポテンシャルを引き出すには正しい使い方が不可欠。エコキュートを使っている人は、省エネモードになっているかを今すぐチェックしてほしい。

 

 

安けりゃいいじゃん?

 オール電化住宅の満足度は、一般的に高いとされている。燃焼機器が不要になるので安全・安心・清潔。そして、何より大きな魅力が圧倒的なランニング・コストの安さ。ガスの基本料金が不要になるだけではない。特にエコキュートは1ヵ月あたり1500円程度と、他の燃料で給湯するよりも圧倒的に安い。当初は高かったイニシャルコストも大幅に下がっていることを考えれば、まさに「夢のよう」「最高」である。

それでは一体どこに問題があるのか。一つ目は、オール電化住宅を名乗りながらヒートポンプを使っていない場合があること。ヒーター(電熱器)式の電気暖房機や電気温水器がその代表である。

 

 電気ヒーターでバンバン暖房すれば、電気代が大幅に増えるのですぐに気付く。電気はもともと他燃料より割高なのだ。ところが、蓄熱式暖房機や電気温水器が電力を膨大に浪費しても、深夜電力は割安なのでコストは大して増えない。だから気付かないうちに、大量のCO2を排出することになってしまう。コスト感覚が「麻痺」してしまった結果、前回取り上げた「省コスト→省エネ→省CO2」の連鎖が働かなくなるのだ。

 二つ目は、ヒートポンプを導入した場合でも「低効率」な使い方を誘導しかねないこと。前途したエコキュートのモード設定にしても、機器挙動をよく監視して説明書を熟読している「詳しい人」ほど、実は「深夜のみ」にしてしまっている。「昼間に沸き上げると高くつくのでは」→「説明書を読むと深夜のみモードがあるらしい」。結果、省コストの努力が見事に「裏目」に出て、増エネ・増CO2につながってしまうのだ。

 

 

結局、原子力をどうするのか

 三つ目の問題点は言うまでもなく、電力供給体制の今後が全くもって不透明ということ。前途の問題点は結局、ほとんど全て「深夜電力≒原子力発電」によってもたらされている。「深夜電力料金体系≒原子力政策」が今後どうなるのかに尽きるのだ。筆者には将来がどうなっているかなど、全く予想できない。10年後に大きく変わっているかもしれないし、全く変わっていないのかもしれない。しかし電力の供給体制がどうであれ、省エネ・省CO2は達成しなければならない。だから地道ではあるが堅実な、「省コスト→省エネ→省CO2」の王道を忘れてはならないと信じている。

 

 

 

 

真之:東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授

(日経アーキテクチュアNo.965  P152.より引用)   』

 

 住宅建築・住まいのリフォーム相談『日本建築倶楽部(JAC)』

 

 

 

 

 


 
Posted by 建築プロデューサー  森 賢一 at 10:31:02
コメントを読む(0)トラックバックを読む(0)コメントを書く
<<前の記事 建築プロデューサー  森 賢一トップページ 次の記事>>
「カシコネット」エディター募集中!!
独自の視点で有益な情報を発信できる方、自薦他薦は問いません。ご応募はこちらまで。

トラックバック

トラックバックURL: http://www.kashikonet.jp/tb.cgi/1132


このサイトは、コミュニケーションブログ コムログビジネスブログ)を利用して運用されております。

Copyright (C) 2005 KASHIKO NET. All Rights Reserved.