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エコハウスのウソ (第5回)

今回は、気密の意味と必要性について突っ込んでもらいますよ。ヾ(*´)

 

「気密」は息がつまる?

 

エコハウス実現の要でありながら、いまだに理解されていない「気密」。環境建築の設計者でも「わざわざ気密をとって機械換気するなんてバカげている」と本音がつい口をつく。かくも嫌われる「気密」。本当にバカげているのだろうか。

 

問題1:暖房するほど寒くなる

 暖かい空気は「働き者」。前回は空気を怠け者と言ったが、それは熱媒としての話。なにしろ熱気球は温めた空気の力だけで空を飛ぶ。暖かい空気の軽さと浮力には、バカにできない力があるのだ。

 気球のエンベロープ(球皮)は完全な気密がとれているから、暖かい空気は漏れない。しかし気密性のない住宅は、さながら「大きな穴のあいた気球」。せっかく暖まった空気は建築上部の屋根や壁から我先に抜けていってしまう。なお悪いことには、埋め合わせのために外の「冷たい」=「重い」空気が下から容赦なく侵入してくることになる。つまり、「暖房する」ほどに居住域が「寒くなってしまう」のだ。

 

  

 

 石油・ガスストーブやファンヒーター、そして最近注目されている薪・ペレットを用いたストーブは、とても軽い高温の温風を吹き出すため、こうした悪影響が特に大きい。膨大な暖房エネルギーを無駄に捨てながら、なおかつ寒い。なんとも割のあわない話ではないだろうか。

 

問題2:断熱が効かない

 気密をとらないことは、せっかくの断熱も無意味にしてしまう。住宅レベルでの断熱を一言でいえば、「空気の流れを止める」こと。断熱材の働きとは単に繊維や樹脂で空気をからめて止めること。だから断熱材を入れていても、隙間から空気が動いたら効果は激減する。

 冬の季節、オーバーサイズで襟元が大きく開いたセーターと、ジャストサイズのタートルネックでは、どちらが暖かいだろうか。言うまでもなく後者である。断熱は気密とペアで行なわなければならない。これは、内部結露の防止のためにも不可欠となる。

 

問題3:換気ができない

 「気密が高いと息がつまる。低気密の方が空気が入ってくる」。こう言われるかもしれない。しかし、こうして侵入してくる「気まぐれな空気」は漏気であり、換気ではない。「換気」とは、室内の空気質を確保するために、1年を通して常に確保された空気の流れを指す。そのため、どうしても24時間稼働する機械換気が必要になる。その際気密をとらなければ、たとえ機械換気を付けても肝心の居室の空気は汚染されたまま滞留する。

 

 

 

気密と機械換気の2つはセットで考える必要があるのだ。

 「機械で換気をすると余計にエネルギーを使うではないか」。その通り。しかし換気ファンの省電力化は急速に進んでいる。気密をとらないで無駄になる暖房エネルギーと比べれば、全く問題にならない程度の電力量しか使わないのだ。

 

やはり気密は不自然?

 エコハウスを名乗るからには、きちんと気密と断熱をとった上で、空気質の維持に必要な風量を機械換気で確保するのが大原則である。

 しかし、気密シートとテープで、さながらビニールハウスのようにされた住宅の内部を見ると、やはり納得できないのは無理ないことである。あまりにも「不自然」。実は、筆者もそう感じている。

 しかし考えてみれば、寒い冬に暖かい空間をつくろうということ自体、物理的には全く「不自然」なこと。屋外と屋内の空気が同じ温度でよいのであれば、気密も断熱も全く無用である。「冬は耐えて春が来るのを待て。それが自然だ」とするのも、それはそれで一つの見解かもしれない。

 だが、人間は本来弱い生き物。凍える寒さを生き抜くために、昔から必死の努力を重ねてきた。しかし使える燃料には限りがある。おまけに、新鮮な空気がなければ息も詰まる。「暖かい部屋で過ごしたい」「無駄なエネルギーを使いたくない」「きれいな空気を吸いたい」・・・。こうした「自然な願い」を叶えるため、冷徹な自然の物理法則に立ち向かう「技術」を、人間は必死に編み出してきた。「高断熱高気密」の技術には、人の願いを叶えるための「暖かい知恵」が込められている。そう思うと、「気密」という言葉もそれほど「息苦しく」感じないのではと考えるのだが。

  真之:東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授    日経アーキテクチュアNo.955  P66.より引用)   』

 

 

 

住宅建築・住まいのリフォーム相談『日本建築倶楽部(JAC)』

 

 

 

 

 


 
Posted by 建築プロデューサー  森 賢一 at 15:32:21
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